学会からのお知らせ

日本庭園学会オンラインセミナー2025春 開催のお知らせ

2025.1.29
学会からのお知らせ

開催趣旨
 日本庭園学会は、日本庭園を多方面から総合的に研究・討議するとともに、日本庭園を軸として日本文化について考究することを趣旨としています。つまり本学会では、日本庭園の研究を造園の分野のみからアプローチするのは不十分であると考えます。そこで、建築学・考古学の分野や、生活文化(茶道・華道等)、あるいは精神文化(哲学・宗教等)、美術・工芸、絵画等々、そして庭づくりの現場の声など、多方面から行われてこそ、初めてその完きを得るものと考えます。そのため、2021年から開始した本オンラインセミナーは、多彩な分野の講師にご講演をいただき、日本庭園学の深淵に触れる企画としています。
 今春のテーマは、「植物とともにつくる庭の風景」です。日本庭園にとって植物は主要な構成要素の一つであり、庭園本体やその背景において四季の移ろいを感じさせるなど、生き物として庭園の風景に変化を多く与えてくれます。一方、生き物であるがゆえに成長し、時には病虫害や異常気象等の影響を受け、庭園の管理や育成に困難を生じさせます。今春のセミナーでは、大分市にて開催の全国大会に向け、九州地方の庭園をはじめとして、広く山林にも視野を広げ、植生・植栽管理等に関する実践智(現場の肉声)・思考智(研究の成果)のご講演をいただきます。
 従来どおり、Zoom利用による事前登録制にて、毎回どなたでも、世界中のどこからでも、視聴・参加可能な企画としています。また、学会員に限っては見逃し配信も行っておりますので、オンタイムでも視聴が難しい方もどうぞお気軽にご登録ください。皆様のご参加をお待ちしています。

開催期間
3月24日(月)~4月28日(月)の毎月曜日の18:00~19:30に開催します。但し、3月31日(月)は開催しません。
参加費:無料
定 員:300名(非会員も参加可能)

参加方法
登録でZoomリンクを入手すれば全てのセミナーが視聴できます。登録は、下記のURLフォームから登録できます。
登録フォーム

プログラム

3月24日(月) 五十川雄也氏(大分市教育委員会)
大友氏館跡庭園の整備と管理~植栽育成に向けて

 全国大会の現地視察に向けて、戦国大名大友氏の当主館跡にて発掘・整備された庭園を取り上げ、庭石の復元手法や植生分析等に基づいた植栽整備等の取組みを紹介、また整備が完了し5年経過した現在の課題についてふれる。

4月7日(月) 吉村龍二氏((株)環境事業計画研究所)
特別名勝毛越寺庭園における植栽整備

 重要な構成要素となっている杉の列植が、芯材腐朽や生育不良により転倒や落枝が発生するなど安全上の課題を抱え、対策を講じた植栽整備の取組みを紹介する。

4月14日(月) 吉岡正樹氏(兵庫県立森林大学校)
庭園における高木管理の課題と具体的手法

 文化財の近くや庭園内の高木は、時に重大な被害を引き起こすリスクがあり、管理上の課題となる。通常の管理業務では見過ごされがちな高木に焦点を当て、適切な扱い方について考察するとともに、具体的な管理手法を解説する。

4月21日(月) 山下詠子氏(東京農業大学)
森林管理の現在と今後の可能性

 名勝の背景としても重要な森林の利用と保全について、森林管理が抱える課題や森林環境贈与税の活用方法など、近年のトピックをまじえて概説する。

4月28日(月) 野口典良氏(久留島武彦記念館)
名勝旧久留島氏庭園における植栽管理の新たな取組み

 江戸時代の森藩 久留島氏陣屋跡に隣接してつくられた庭園であり、全国大会の現地視察の予告もかねて、庭園の概要ならびに文化財庭園における森林環境贈与税を活用した植栽管理等の具体例を報告する。