令和5年度日本庭園学会大会「江戸の大名庭園~再生と未来~」

1. 全国大会概要
日程:令和5年(2023)6月3・4日(土・日)
会場:東京都中央区環境情報センター 研修室

2. 大会趣旨
テーマ:「江戸の大名庭園~再生と未来~」
かつて、江戸の街には1,000か所以上の大名庭園があったといわれているが、明治維新により多くの大名庭園は放棄され破壊されてしまった。わずかに残った庭園は、公共の庭園やホテルなどの民間施設の一部として残されるのみであった。しかし、それらの庭園も関東大震災、太平洋戦争によって構造物は焼失し、残されていた江戸の大名庭園の面影を失ってしまった。  浜離宮恩賜庭園等の都立庭園は、平成16年(2004)より遺構調査や史資料調査を行ないながら江戸の大名庭園を復元し次の世代に引き継いでいくことを目的とした事業が進められている。失われた江戸の大名庭園を復元していくことは、江戸の文化を今に再現することであり、それは次世代に継承すべき文化遺産であるということでもある。  江戸の大名庭園の復元はどのような形でどのように進められているのか、そして、復元された江戸の大名庭園を、価値ある施設として現在の人々に活用してもらうためにどのような取り組みが考えられるのか、経緯も含めて議論していきたい。  そして、昨年度、築地市場跡に所在する江戸時代に名園と謳われた浴恩園の一部で予備調査が行われた。江戸大名庭園の実態を解明する上でも貴重な事例になると思われる。

3. プログラム
6月3日(土):
【現地検討会(@浜離宮庭園)】 協力:東京都・東京都公園協会
※台風のため、中止

【公開シンポジウム】

講演(1)岩淵令治氏 学習院女子大学教授(近世史)
講演(2)加藤秀之氏 東京都埋蔵文化財センター(考古学)
講演(3)中山なつ希氏 東京都公園協会文化財庭園課長(庭園の保存と活用)
講演(4)吉田不曇氏 中央区副区長(都市計画・まちづくり)
総合討論 座長:菊池正芳氏 日本庭園学会全国大会運営委員長、本会理事

【情報交換会】

6月4日(日):
【研究発表会】

研究発表1
近代京都の庭作りの黎明期における二条離宮本丸庭園の位置付け
今江秀史(京都市元離宮二条城事務所)

研究発表2
現地調査からみた英国の日本庭園変遷の過程と大名庭園の関係と特徴
熊倉早苗(京都芸術大学)

研究発表3
『ながめ』のクロボク石庭園について
大澤伸啓(立正大学)

研究発表4
陸奥宗光別邸跡・旧古河別邸の庭園における流れの時期変遷
吉田雄哉(東京農業大学大学院)ほか

研究発表5
臨海部の潮入りの庭園『海荘』にみる都市政策と庭園の役割
竹内智子(千葉大学大学院園芸学研究院)ほか

研究発表6
旧芝離宮恩賜庭園の3D モデルの作成とその活用可能性
Tamir Erdembileg(千葉大学大学院園芸学研究院)ほか

研究発表7
周辺開発に伴う高層から庭園を見下ろす景観-旧芝離宮恩賜庭園を例に-
石綿優大郎(千葉大学大学院園芸学研究院)ほか

研究発表8
小石川後楽園大泉水における水練について
鈴木 誠(東京農業大学グリーンアカデミー)ほか

研究発表9
七代目小川治兵衛(植治)を取材した二人のアメリカ人女性作家:エリザ・シドモアとロレイン・カックの著作を通して植治の作庭観(または庭園観)を探る
マイケル・シャピロ(植彌加藤造園株式会社)ほか

研究発表10
兼六園の調査結果からみる旧加賀藩の造園石材の利用
張 平星(東京農業大学)ほか

研究発表11
文化資本論で読み解く『園芸・ガーデニング・家庭菜園』の趣味経験の推移
森 泰規(株式会社博報堂)

【総会】